| 静岡県公安委員会届出49152560号 |
別居中の夫が不倫しているのが分かりました。
離婚を決心して、離婚理由は夫の不倫ですので慰謝料の請求を夫にしたところ、別居中の不倫は、離婚原因にならないので慰謝料の支払いには応じない、と言うのですが本当でしょうか?
この様なご相談は以前からよく頂いています。
どうしてだろうかと考えてみますと、別居後の異性交際については、配偶者からの責めを負わなくてもいい、離婚後の交際については元の配偶者は無関係だ、などという情報をインターネットとかその他から得ていらっしゃるからでしょう。
本当にそうなのかというと、そんなことはありません。
別居中の不倫、離婚後の異性関係が分かった時点での慰謝料請求は可能です。但し、請求するにはそれなりの根拠と証拠が必要です。
つまり、同居中は配偶者の不倫をそう気にしてなかったけれど、別居してより不審に思ったので調べてみたところ、不審は現実のものであった。とかです。
又は、性格の不一致でいわれるままに離婚したが、元配偶者が不倫を働いていたことがひょんな事から分かった。
離婚は性格の不一致ではなく、性の不一致を、自分勝手な理由で突きつけられた結果だった。
ダマされた!何とかして慰謝料を取りたい!等々の思いでいらっしゃる方、慰謝料請求は可能です。そして、取れます。
但し、別居後、離婚後を問わずできるだけ早い方がいいと思います。請求の権利は3年ですが、それはあくまでも法的な権利が主張できる期限です。現実はそうはいきません。もっと早いほうがいいのです。
■ とある例・・・
40歳代の建設設計の仕事を自営されている男性から、別居中の奥さんの不倫に関してのご相談でした。奥さんは40歳、夫婦の間に5歳と3歳の女の子がいました。
●自宅と隣り合わせで設計の仕事をしており、仕事の終わりが夜10時を過ぎることも度々あった。不審だったのは、妻が夕方から夜間にかけてよく外出することだった。行き先を尋ねると、ママさんバレーとか、子供の幼稚園の事で出かけるということであった。「そうか」と思って特に気にしていなかった。
●妻は外出の際、2人の子供を車で10分ほど離れた実家に預けていた。そこで子供の食事を始めお風呂にも入れてもらっていた。子供を実家に預けて週に1回~2回夜間外出していたのであった。
●妻の外出にこれといった理由はないものの、何となく疑わしいものを感じる様になった。それは、子供の幼稚園が休みの前の日は、実家に子供を泊まらせることが何度か続いたときからである。子供を実家に寝泊まりさせても妻は帰ってくる。子供が寝ていたからそのまま実家に置いてきた。と言うのであった。
●もしかして、という思いがあったので妻に行き先を尋ねたところ、逆ギレをして私を責めるようになった。それ以来夫婦仲はしっくりいかず、3ヶ月後に妻の方から別居を言い出して現在別居中である。
●別居の原因となるような事も見あたらず、妻が勝手に出て行った感じの別居なのでこれは何かある、と思って弁護士さんに相談したところ、調査をすすめられた。
以上の様な理由で別居中の奥さんの生活の状況を調査したのでした。
結果は、ご主人の思惑通り・・・奥さんは10歳くらい年上の男性と交際し、ラブホテルに出入りしているという事実が分かり、ラブホテルに出入りするまでの一連のコースも、私的且つ親密な関係であることが分かったのでした。
奥さんの不倫がいつ始まったのかは分かりません。
しかし、この証拠を「同居中から続いていたのである」という様に証明すればいいのです。現在はどうなのかという証明(=証拠)はできました。次は、この関係はいつからなのかを証明すればいいのです。
現在のことは写真に撮れますが過去の過ぎ去ったことをどの様に証明するのか?
この場合…
① 考えられる別居の原因と理由
② 別居までの夫婦関係は?
③ 別居しなければならない客観的理由は?
④ 同居生活と別居生活の合理性
⑤ 子供と両親の関係
⑥ 別居することのメリット
⑦ 同居生活の限界を判断したのは妥当か
これらのことと、ご主人が何となく不審に感じられた出来事を合わせて論理的に説明し、現実の証拠と重ね合わせた場合・・・
ご主人の言い分が通り、別居後の不倫の責任が認められる。
従って慰謝料支払いの義務と責任が発生、というようにはなります。
別居していても奥さん側は負けるのです。
勿論、不倫相手の男性もご主人に慰謝料を払わなければなりません。配偶者が同居中に不倫を働いていたのですから。
離婚の根拠とその理由が自分勝手だったり、矛盾しているから、真実を知るために調査した。
その結果として異性との交際が分かれば、その交際の始まりが結婚生活からのものかどうかを客観的に説明できればいいのです。
家庭内での証拠というものはほとんどの場合ありません。まして、写真に撮るとか録音するなんて事は、円満な状態で離婚した場合ありません。
証拠がない場合は、家庭内での客観的生活を論理的に説明してゆくことです。
それと、離婚後に得られた証拠を合わせれば、離婚後、籍が抜けた相手に慰謝料の請求は可能です。慰謝料の支払いを受けることができます。
別居後の不倫、離婚後に元配偶者の異性関係を知った場合、慰謝料の請求はできても支払いを受けるのは無理だというような情報は間違いです。
それは、原則の言葉が一人歩きしているのです。
別居して何年も経ち、夫婦の形式も内容もなくなっている配偶者の異性関係を基に、権利のみに基づいた慰謝料の請求は無理でしょうが、そうでない場合は、考えてみる価値があります。
最終的に法律の手を借りて解決を図ります。
しかし、沢山のペアの紛争内容にピッタリの法律なんてありません。ピッタリの法律が作れないのです。そこで、誰にでも当てはまる様に作られているのが、
民法770条の中にある「婚姻関係を継続しがたい重大な事由があるとき。」という条文です。
多くの離婚は、離婚原因の事由をこの条文に当てはめています。 よく言われるところの性格の不一致もこれです。
では、性格の不一致とは何をさして言うのか…また、どの様なものなのか…
★それは結婚してから分かったことなのか?
★どうして今頃それが問題になったのか?
★なぜ、性格が合わないことが気になりだしたのか?
★それは、回復の見込みがないのか?
★それが重大な事由になり得るのか?
この性格の不一致を見てみてもいろいろな夫婦の生活内容、ものの考え方が推測できます。
夫婦の気持ちは揺れ動き、以前は何とも感じなかったことが、今になってイヤになって、気になって仕方がないということがあるということです。
男女、夫婦問題の解決を法律に委ねる場合、法律の文言の意味を理解すると共に、自分の場合とよく照らし合わせてみてください。
離婚に関する法律のことをもっと知りたい!